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据付1函目となるケーソン(八戸港)
①八戸港
 被災した八太郎北防波堤(災害復旧)の復旧工事が進む。昨年10月からケーソン製作をむつ小川原港ケーソンヤードで開始し、同時に倒壊したケーソン(北防波堤中央部)撤去を進めた。2月16日から製作済みケーソンを順次むつ小川原港から八戸港まで回航し、4月6日には復旧ケーソンの第1号函を据え付けている。5月30日現在、北防波堤中央部の新規据付ケーソン41函中16函の据付を完了している。
②久慈港
 湾口防波堤は昨年11月から南堤の手戻り工事に着手済み。災害復旧は、北堤の消波工事を昨年末から開始し、現在は半崎地区波除堤、湾口地区防波堤の築造工事など全ての工事に着手している。
④釜石港
 2月26日に釜石港湾口防波堤災害復旧工事の着工式を開催。同月から湾口防波堤南堤のケーソン撤去を開始し、2015年度までの5年間で完全復旧を図る。復旧工事は工区を南堤と北堤(開口部含む)の二つに分けて進める。南堤はケーソンの製作(9函)を2012、2013年度の2カ年で行い、2012〜2014年度で据付作業を完成させる予定。現在、延長50mのハイブリッドケーソン4函の製作、破損したケーソン2函の撤去を実施している。北堤工区は、約4年間でケーソン29函を製作。2015年度までに工事を終える。現在、破損したケーソン13函の撤去、RCケーソン4函製作、基礎捨石の投入、作業基地整備を実施している。湾口防波堤の復旧費用は約490億円を見込む。
⑤大船渡港
 大船渡港湾口地区防波堤の本体工事1件、築造工事1件を発注済み。ただし、地元調整に時間を要しており、現在は工事休止中。6月の工事再開を目指し調整しているところ。また、野々田地区岸壁(−13m)及び(−7.5m)の災害復旧は6月、永浜地区岸壁(−13m)は7月の工事発注を予定している。湾口防波堤の復旧費用は約200億円を見込む。
⑥石巻港
 雲雀野地区航路・泊地浚渫工事は昨年中に完了し、今年度からは防波堤(南)の災害復旧に本格的に取り組んでいる。
 また、同地区の岸壁(−13m)2バースについてもエプロン舗装等の復旧工事を行っており、宮城県が背後の野積場の舗装を進めている。
⑦仙台塩釜港
 仙台港区の向洋地区岸壁(−14m)の災害復旧工事は昨夏から工事着手し、1月22日には震災後に初めて北米航路のコンテナ船が寄港した。同地区の岸壁(−12m)部は既に舗装工事が完了しており、現在は、海上部の地盤改良を実施しており、隣接の取付護岸部の工事は契約手続き中である。
 中野地区岸壁(−12m)及び(−10m)の一部は舗装工事などが完了し、高松地区岸壁(−12m)及び中野地区岸壁(−10m)・(−7.5m)の舗装工事を実施している。外港地区では、沖防波堤及び南防波堤の上部工事やC防波堤の復旧工事なども進めており、宮城県が新北防波堤や中野・向洋地区の野積場の舗装など復旧工事を進めている。
⑨小名浜港
 3号ふ頭地区、4号ふ頭地区、5・6号ふ頭地区、7号ふ頭地区、藤原ふ頭地区及び大剣ふ頭地区の主要ふ頭の全てで岸壁の復旧を進めている。
 特に震災後、著しい滞船が発生しており、その緩和のために港湾利用者から早急に供用開始を行うよう要請されている3号ふ頭3号岸壁については、8月上旬の供用開始に向け、県工事と調整を図りながら工事を進めているところである。
 また、外郭施設についても、防波堤(沖)及び西防波堤(第二)の上部工嵩上げに着手したところである。
⑩茨城港
日立港区は、第5ふ頭の本格復旧を実施中。その他の施設を含め、今年度末までに復旧見込み。
 常陸那珂港区は、応急復旧により昨年度から北ふ頭外貿地区における建設機械輸出や内航地区の苫小牧、北九州定期RORO航路が再開。外貿地区A岸壁やガントリークレーンの復旧(4、5月)により外貿定期コンテナ航路が再開した(5月)。ヤードの大半やその他の岸壁については、今年度中を目標に順次本格復旧を進める。
⑪鹿島港
 土砂の堆積した中央航路、南航路、外航航路の浚渫を引き続き実施中。現在、11の公共岸壁全てが供用中であり、背後のヤードを含め、本格復旧を進めている。3月中旬には北公共ふ頭のガントリークレーンが稼働。

(5月31日現在)

黙祷を捧げる出席
③宮古港
宮古港の復旧事業着工式
7月にケーソンの据付を開始
 岩手県宮古市の宮古港の復旧事業着工式が3月17日、同市臨港通の出崎地区公共ふ頭で開催されました。東北地方整備局釜石港湾事務所、岩手県、宮古市が主催。今後、出崎防波堤をはじめ、被災した防波堤や岸壁など25施設の復旧工事が実施されます。完成は2012年度内を目指しています。
 着工式には室井邦彦国土交通大臣政務官、上野義晴岩手県副知事、山本正徳宮古市長など関係者約80人が出席。室井政務官は「まず護岸、防波堤がしっかりと復旧され、安全・安心なまちづくりを行っていくことが大切だ」とあいさつしました。
 被災した出崎防波堤は、4月後半に倒壊したケーソンの破砕・撤去を開始。7月にケーソン据付作業に入ります。また、藤原地区第1ふ頭岸壁(−7.5m)や鍬ヶ崎地区岸壁(−5m)などの岸壁工事にも着手。現在までに竜神崎、鍬ヶ崎、出崎、藤原、神林の各地区で災害事業25施設のすべての工事を発注しています。
あいさつする室井国土交通大臣政務官
⑧相馬港
相馬港の復旧事業着工式
沖防波堤の復旧着工平成27年度完了目指す
 福島県相馬市の相馬港の沖防波堤の災害復旧事業着工式が3月24日、相馬市のホテルで行われました。東北地方整備局小名浜港湾事務所と福島県の共催で開かれたもので、今後ケーソンの仮置き工事や消波ブロックの据付工事などが本格化します。
 着工式には、室井邦彦国土交通政務官、吉田泉復興政務官、佐藤雄平知事など関係者約70人が出席。室井政務官はあいさつの中で、地域産業を支える物流拠点の機能回復に期待を表明。引き続き立谷秀清相馬市長、加藤憲郎新地町長らが祝辞を述べました。
 沖防波堤は全長2,730mの規模。東日本大震災では181函のケーソンのうち約9割の159函が転倒・倒壊しました。このため、港内の静穏度を保てず、荷役作業に支障が出ていました。消波ブロック設置やケーソン仮置きを通して、今夏までに一定の静穏度を確保した上で、2015年度末の完了を目指しています。

現場ルポ
被災港湾で初のケーソン据付を開始
むつ小川原港ケーソンヤード「ドライドック」でケーソンを製作
 青森県八戸港の八太郎北防波堤の本格復旧に向け、ケーソンの据付が今年4月に開始された。東日本大震災で大きな被害を受けた防波堤のうち、防波堤復旧のためのケーソンの据付はこれが第1号となる。 被災した各港湾の復旧・復興工事が本格化する中、他港に先駆けて復旧工事が進む八戸港(青森県)の現場を訪ねた。
(日刊建設工業新聞社)
地元の要請に応えるため、早期の完成を目指す
八戸港八太郎地区防波堤(北)(災害復旧)の関連工事
ケーソンを長くし、効率的な施工を
 八戸港は、東日本大震災で4.5m以上の津波が襲来。揺れによる被害は軽微だったものの、巨大津波で防波堤に被害が集中した。特に工場などが集積する八太郎地区の北防波堤(総延長3,500m)の被害が甚大だった。
 北防波堤は陸側から「基部」(延長1,250m)、「中央部」(延長1,550m)、「ハネ部」(延長700m)で構成。このうち、全体の約4割が転倒し、いずれも港内側に崩れ落ちた。
 国土交通省東北地方整備局八戸港湾・空港整備事務所は、港内の静穏度を早急に確保してほしいという地元の強い要望に応え、昨年7月に滑動したケーソンを存置したまま、既存防波堤の位置よりも港外側に消波ブロック堤を築堤。昨年9月には、本格復旧に向けてケーソンの製作工事を発注した。10月には同事務所が管理するむつ小川原港ケーソンヤード「ドライドック」(上北郡六ヶ所村)でケーソンの製作工事に着手。同時にケーソンの撤去工事などにも入った。
 北防波堤の復旧工事は、既存のケーソンで使えるケーソン1函を据え直し、新たに74函のケーソンを製作・据付し防波堤を再構築する。「被災前のケーソンは102函ありましたが、防波堤の早期完成を目指し、ケーソンの長さを従来型に比べ5m程度長くし、新設ケーソン数を減らし、施工の効率化を図っています」(八戸港湾・空港整備事務所の原田久志副所長)。
ハネ部は今年10月からケーソンの据付を開始
 むつ小川原港ケーソンヤードは国内最大級の154m×56m×13.5mの大きさ。ケーソンは1度(1サイクル)に12函を製作する。すでに2サイクル24函の製作を終了し、2月16日から順次ケーソンを八戸港まで回航している。現在(5月28日時点)3サイクル目のケーソンの製作を実施。3サイクル目の12函も6月下旬から回航を始める。「ケーソンは1サイクルを3カ月程度で製作しています。八戸港にあるフローティングドックで製作した4函を含めると、現在28函が製作済みです。このうち、13函の据付を終了。残る15函は八戸港内の仮置き場にあり、基礎マウンドなどの整備が済み次第、順次設置していきます」(同)。
 現在実施されているケーソンの据付は、北防波堤のうち中央部の部分。1函当たりのケーソン(中央部)は、長さ16.5〜19.4m、幅16.0〜17.0m、高さ9.0〜10.5m、重さ1,200〜1,500トンの規模。新設するケーソン74函のうち、中央部に40函、ハネ部に34函を据え付ける。「中央部は年内にもすべての据付を終える予定です。ハネ部もケーソンの製作を進めており、今年10月には据付を開始します」(同)。
北防波堤の被災状況(昨年3月に撮影)。
提供:八戸港湾・空港整備事務所
中央部のケーソンの据付状況(5月に撮影)。
2トンクラスの被覆ブロックを設置
 工事はケーソン撤去工事外(据付含む)などを発注済みで、残るケーソン製作工事や上部工事、被覆ブロックの設置工事の発注も計画している。
 「新設する防波堤を"粘り強い"構造にするため、防波堤の港内側に被覆ブロックを設置し、津波の越流による防波堤後背部(港内側)の洗掘を防ぎます。水理実験などで2トンクラスの被覆ブロックを設置すると、効果的という結果を得ています。防波堤の上部工も切りかけのあるパラペットタイプを採用します」(同)。
 "粘り強い"構造については、防波堤の倒壊原因を調べ、水理実験などを通じて、最小コストで最適な越流対策を考える方針だ。新防波堤の完成は2013年度中を予定しているが、原田副所長は「安全対策を万全に行いながら、地元の要請に応えるためにも、1日でも早く完成するよう頑張りたい」という。
砕岩棒で倒壊ケーソンを砕く
ケーソン撤去外工事施工:(五洋・みらい・本間JV)
ケーソン撤去外(その2)工事施工:(若築・りんかい・日産・あおみJV)
 津波で倒壊したケーソンは、砕岩棒やヘビー級グラブバケットを使って砕き、海中に沈んだコンクリート殻や中詰め材を浚渫し、撤去した。砕岩棒は通常、海底の岩盤などを砕くもので、大量のケーソンを砕いた例はこれまでほとんどない。そのため、破砕作業は難航した。
 作業はまずグラブ浚渫船の施工管理システムに打撃位置情報を登録。GPSで傾いたケーソンの打撃位置や高さを管理しながら傾斜角に応じて適宜調整しながら砕いていく。ケーソンの傾きが大きい場合、砕岩棒の滑りによる吊ワイヤの切断や落下による機械の負荷を考慮し、25トン級の砕岩棒またはグラブバケットで削岩する。天端部がある程度平らになった時点で、50トン級の砕岩棒に取り替える。上部工や蓋コンクリートの削岩作業終了後、ヘビー級グラブバケットに付け替えて破砕作業を行い、砕けたガラなどを浚渫し、撤去する。
 ケーソン撤去外工事を担当した五洋・みらい・本間JVの下川床徹所長は、「当社は17函を撤去し、55,000m3の撤去ガラがありました。破砕作業は想像以上に大変で、ワイヤやラインニングなど各種部品をかなり修理しました」という。また、作業場所が航路に近く、アンカーが使えないため、作業船をスパットで固定したが、揺れが激しく船員は立っていられない状況もあったという。
 隣接する工区(ケーソン撤去外その2工事)で18函のケーソンを撤去した若築・りんかい日産・あおみJVの後藤勝彦所長は「破砕は作業船を傷めないように細心の注意を払って行いました。船長やオペレーターの経験やノウハウに頼るところが大きい作業でした。修理が必要な部品などは事前に手当をしておくなど、工程が遅れないように気を付けました」。撤去ガラは、陸上で分別し、鉄筋コンクリートガラ以外は2次破砕し、ケーソンの中詰め材などに利用する計画だ。

左:下川床所長(五洋JV) 右:後藤所長(若築JV) 砕岩棒によるケーソン破砕状況。

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