2012年10月24日、社団法人日本埋立浚渫協会(埋浚協)は第14回「うみの現場見学会」を開催しました。日ごろなかなか見ることができない港湾工事の現場を見学し、先端技術と海の現場の迫力を感じてもらうとともに、社会インフラの重要性を認識してもらうのが目的です。今回は一昨年発生した東日本大震災の津波で大きな被害を受けた八戸港(青森県八戸市)で進められている本格復旧工事を地元の高専生に見学していただきました。震災復旧の工事現場でうみの現場見学会を開くのは初めての試みです。
 
[写真右]あいさつする佐々木邦彦企画広報委員長
八戸工業高等専門学校から50人参加
 ご参加いただいたのは独立行政法人国立高等専門学校機構八戸工業高等専門学校の建設環境工学科3年生と引率の先生の計約50人。見学会の開会あいさつを行った佐々木邦彦企画広報委員長は「今回は復興関係工事の重要性と最先端の海洋土木技術を、実際の施工現場で感じてもらいたいと思い、八戸港での開催を決めました。生活に欠かせないインフラを造る喜びと、我々が品質や工期のために行っている工夫や気配りをぜひこの機会に知っていただきたいです。そしてシビルエンジニアを目指す皆さんには将来、ぜひ我々の仲間になってほしいと思っております」と、話しました。
 続いて工事発注者の国土交通省東北地方整備局八戸港湾・空港整備事務所の長尾憲彦港湾空港環境対策官が震災による八戸港の被害状況や復旧工事の流れを説明。埋浚協東北支部の幹部が航路や港湾の啓開作業など協会が震災直後に行った緊急対応を紹介しました。
 2011年3月11日、八戸港には高さ4.5m以上の津波が襲来し、八太郎地区北防波堤(全長3,500m)の約4割が被害を受けました。ただ、八戸港以南の港はそれを上回る壊滅的な被害を受けており、八戸港を早期に復旧させ東日本太平洋岸の物流拠点として機能させる必要が生じました。また「港湾の静穏度を早急に確保してほしい」という地元の強い要望もあり、震災発生後の早い段階から消波ブロックを応急復旧として設置するなど、素早い対応が行われました。
 見学会では、本格的な防波堤の復旧工事となる複数の現場を見てもらいました。ケーソン約100函の破砕・撤去と、約70函の新規の据え付けを実施する八太郎地区北防波堤の工事では、埋浚協の会員企業が7件(うち2件は完了)の工事に取り組んでいます。隣接する外港地区防波堤(第二中央)でも1件の工事を会員企業が進めていました。  特に被害が大きかった八太郎地区北防波堤(中央部、ハネ部、基部で構成)では、2012年4月にケーソンの据え付けが始まり、中央部は据え付けのほか、一部では上部コンクリートの打設まで終了。ケーソンが流失した「ハネ部」で据え付けに向けた基礎均し作業などが行われていました。
 外港地区防波堤では、津波による被害が発生した3カ所で構造物の撤去や基礎工、根固め工、被覆ブロックと消波ブロックの設置などを実施する計画で、ケーソンやブロックの撤去はすでに完了しており、被覆ブロックや消波ブロックの設置に向けて基礎マウンドの造成などが進んでいました。
 生徒たちは、五洋建設・みらい建設工業・本間組JV(八戸港八太郎地区防波堤〈北〉〈災害復旧〉ケーソン撤去外工事)の下川床徹所長と東洋建設・不動テトラJV(八戸港外港区地区防波堤〈第二中央〉外〈災害復旧〉築造外工事)の蜂谷徹所長から工事概要の説明を受けた後、船上から防波堤を見学。地元の震災復旧事業とあって真剣な表情で現場を見つめていました。波の中で行われている工事の難しさに感じ入っていたり、初めて目にする防波堤工事の姿に興奮した表情を見せたりする生徒もいました。  東日本大震災は未曾有の災害でしたが、古来より自然災害の最前線に立ってきたのが建設産業に従事する人々です。生徒たちには、震災復旧に立ち向かう建設会社の社員が頼もしく映ったことでしょう。今回の見学会をきっかけに、海のシビルエンジニアを目指す生徒が出てくるかもしれません。大いに期待したいと思います。
北防波堤の被害状況 現場を船から視察する生徒 海の工事に興味津々の
将来の「海のシビルエンジニア」たち

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