2015(平成27)年11月6日、一般社団法人日本埋立浚渫協会は第17回「うみの現場見学会」を開催しました。普段は入ることのできない港湾工事の現場を見てもらい、先端技術と施工中の雰囲気を体験してもらうとともに、社会インフラの重要性を認識してもらうことが目的です。今回は、国土交通省近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所の後援で、国際海上コンテナターミナル整備事業が進められている大阪市此花区の大阪港北港南地区で施工中の岸壁築造工事を、地元の大学生と大学院生たちに見学していただきました。
 
[写真右]あいさつをする鐘崎道生企画広報委員長
 秋晴れの下、ご参加いただいたのは、大阪大学と大阪市立大学の学生や留学生、大学院生、引率の教授など計38人。見学会の開会にあたり鐘崎道生企画広報委員長は「現場見学会は、港湾整備の重要性や港湾土木技術の成果、当協会や会員各社の取り組みについてより身近に感じてもらうことを目的に開催しています。現場では、安全、環境、品質、工程などの面で工夫をして取り組んでいます。導入技術や設備もさまざまです。自分の目で直接見て、土木技術の素晴らしさや海洋土木のダイナミックさを感じ取ってほしいと思います」と、あいさつしました。
 続いて、大阪港湾・空港整備事務所の西村尚己所長が港を造る仕事の魅力、石橋祐二企画調整課長が進行中の事業の概要をそれぞれ説明。施工会社を代表し、東洋建設大阪本店の三木健男夢洲C12作業所長が施工方法や手順などを紹介しました。
 大阪湾に位置する大阪港と神戸港は、「阪神港」として、2010年(平成22)年に国際コンテナ戦略港湾に指定されました。大型化が進むコンテナ船に対応するとともに、アジア主要国と遜色のないコスト・サービスの実現を目指し、ハード・ソフト一体となった事業が集中して展開されています。
 高規格コンテナターミナルとして、沖合の人工島「夢洲」地区では、北米、豪州、東南アジア、中国、韓国、台湾の就航航路のバース「C−10」「C−11」「C−12」が2009(平成21)年8月から一体的に供用を開始しました。
 その後、外貿コンテナ貨物の需要の増加に伴い、バースの混雑が慢性化。新たな航路誘致が難しい状況になったため、2013(平成25)年度からC−12の延伸工事に着手しました。既存岸壁の延伸、増深改良などの機能強化を実施し、コンテナ船の大型化に対応した国際標準仕様(水深・広さ)を備えたコンテナターミナルとしての機能を確保するのが狙いです。
 今回は、事業の一環として進められている「大阪港北港南地区岸壁(−16m)(C12延伸)築造工事」(施工=東洋建設・みらい建設工業・りんかい日産建設JV)を見学しました。既存岸壁を250m延伸するもので、4月に着工しました。
 鋼管を組み合わせたジャケット(1基当たり幅37m、高さ17m、長さ50m、重量600トン)を5基設置する計画で、三重県津市にあるJFEエンジニアリング津製作所でジャケットの製作を進めています。
 工事ではまず、基礎捨石をガット船で海上運搬し、高さ測定をしながら海中に投入します。その後、潜水士が所定の高さになるよう、均し作業を行います。ジャケットの仮受杭と鋼管杭の打設に基礎捨石は障害になりますので、あらかじめ全周回転掘削機で基礎捨石を撤去し、砕石に置き換えます。
 2016(平成28)年2月中にジャケットを完成させた後、大型台船に積み込み、一度、兵庫県西宮市鳴尾浜まで海上輸送します。そこで起重機船を使って台船から吊り上げ、大阪港まで曳航し、所定の位置に誘導・位置決めをしてから3月までに据え付けを完了させるスケジュールです。
 据付完了後、ジャケットレグ内部に鋼管杭を打設します。打設は振動工法(1次打設)と最終打撃工法(2次打設)の併用工法を採用。最後の桟橋上部工では、ジャケット上に工場製作したPC版を設置し、間詰コンクリートを打設した後、PC鋼材の緊張を行います。完成は2016(平成28)年10月を予定しています。
 当日、学生たちは、当協会が用意した旅客船に乗り、現場へ移動。ジャケットの仮受杭と鋼管杭の打設で障害となる基礎捨石を全周回転掘削機で撤去する工事の様子を見学しました。浚渫土砂の処分場計画地や浮体式防災基地なども船で見て回りました。見学後の質疑応答も活発に行われ、参加者の中から建設業に就職を希望する人が出てくることに期待したいと思います。
位置図
旅客船に乗り込む学生たち 先行掘削が進む現場
大阪大学、大阪市立大学の学生と大学院生など
38人が参加した

| うみの現場見学会トップへもどる |