2015(平成27)年11月25日、一般社団法人日本埋立浚渫協会は第18回「うみの現場見学会」を開催しました。普段は入ることのできない港湾工事の現場を見てもらい、先端技術と施工中の雰囲気を体験してもらうとともに、社会インフラの重要性を認識してもらうことが目的です。今回は、東京港で進められている海上土木工事の現場や2020(平成32)年東京五輪開催に向け整備が予定されている競技施設や各種プロジェクトの計画地を、首都圏の大学生と大学院生たちに見学していただきました。
 
[写真右]あいさつする野口哲史技術委員会副委員長
 ご参加いただいたのは、東京都市大学、首都大学東京、東京工業大学の学生と大学院生、引率の教授など計27人。見学会の開会にあたり、野口哲史技術委員会副委員長は「日本の土木工事の約7分の1〜6分の1は海の工事で、大部分を当協会のメンバーが手掛けています。東京港は国内の臨海部のインフラで一番整備されています。アジア・太平洋地域で見てもシンガポール、香港、シドニーと並びます。これから東京五輪開催に向け、大改築や再開発が始まります。見学会は、海の建設現場を見る絶好のチャンスです。本物を見るのが一番分かりやすく、スケール感を体験してほしいと思います」と、あいさつしました。
 続いて、東京港内で海上工事や臨海地域の工事を複数担当している五洋建設の渡邊雅哉東京土木支店有明工事事務所工事総括所長が、東京港で進行中のプロジェクトの概要や工事に導入されている作業船・工法、見学ルートを説明しました。
 東京港は、首都圏4,000万人の巨大な背後圏の市民生活を支える日本を代表する商業港。1967(昭和42)年に国内初のコンテナターミナルとして品川ふ頭が供用しました。現在では外貿取扱貨物のうち約96%をコンテナ貨物が占めており、外貿コンテナ取扱個数は1998(平成10)年以降、17年連続で国内1位を誇ります。
 2014(平成26)年の速報値では、港湾取扱貨物量は8,719万トン(対前年比1.3%増)。貿易額は17兆1,416億円(10.5%増)で、うち、輸出6兆1,374億円(12.1%増)、輸入11兆42億円(9.6%増)となっています。
 2010(平成22)年には東京、川崎、横浜の3港を合わせた「京浜港」が国際コンテナ戦略港湾に選定され、東京港では海外の大型船舶が接岸できる耐震強化岸壁やコンテナ貨物を配置するヤードの整備などが進められています。
 水深の深い世界標準の岸壁を整備する一環として、中央防波堤外側地区国際海上コンテナターミナル整備事業では、水深16mの「Y2岸壁」が2017(平成29)年度、「Y3岸壁」が2019(平成31)年度の供用開始を目指しています。
 東京五輪に向けては、臨海部に選手村をはじめ、ボートやカヌー、セーリングなど水上競技施設が新設される予定です。既存施設の活用や仮設による対応も計画されています。
 五輪の開催に合わせたインフラ整備では、10号地その2埋め立て地と中央防波堤内側埋め立て地を南北に結ぶ臨港道路「南北線」の建設工事が2016(平成28)年度に着手する予定となっています。海底トンネルは延長2.5km、4車線を沈埋工法で施工する計画です。2020(平成32)年の開通を予定しています。周辺の道路改良を含めた総事業費は約1,100億円が見込まれ、海上工事のビッグプロジェクトとして注目を集めています。
 当日、学生たちは、当協会が用意した3隻の交通船に分かれて乗船。東京の南方約120kmから約600kmの間に点在する伊豆諸島の輸送手段の確保や産業基盤の整備を図るために行われている離島事業対策に使うケーソンの製作現場を皮切りに、東京港内最後の廃棄物処分場となる新海面処分場の護岸整備、中央防波堤外側埋め立て地で水深16mの岸壁整備工事などを見学しました。
 このほか、東京五輪の晴海選手村やトライアスロン競技場の建設予定地、2016(平成28)年11月に開業予定の豊洲新市場、大型客船が係留できる桟橋や岸壁の整備が計画されている青海ふ頭なども見て回りました。
 最後に質疑応答が行われ、学生からはマリコンとゼネコンの違いや五輪後の建設市場の動向、海外事業の展望など、就職活動にもつながる具体的な質問が多く上がりました。参加者の中から建設業に就職を希望する人が出てくることに期待したいと思います。
東京港の見学会ルート
交通船に乗り込む学生たち 東京都市大学、首都大学東京、東京工業大学の学生など
27人が参加した
東京港で活躍中の作業船(地盤改良船) 東京港で活躍中の作業船(汚濁防止枠付き土砂送泥船)

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