2月28日、日本埋立浚渫協会は茨城港の常陸那珂港区で行われている廃棄物埋立護岸築造工事の現場にて、「第20 回うみの現場見学会」を行いました。港湾整備の重要性や港湾土木技術の成果を一般の皆さんに知っていただくことを目的にしており、今回は茨城大、筑波大の大学生と大学院生、教員計20 人に港湾の役割とともに大型鋼板セルやハイブリッドケーソンを据え付ける工事の概要を説明し、現場を見学してもらいました。
 
[写真右]河瀬伸幸企画広報委員会副委員長
 茨城港は、2008(平成20)年に北関東の産業や首都圏へのエネルギー供給を担う拠点港湾として、日立港・常陸那珂港・大洗港の統合によって誕生しました。その一港区である常陸那珂港区には、東京電力常陸那珂火力発電所や、大手建設機械メーカーのコマツ、日立建機の工場などが立地しています。自動車輸出の拠点の一つにもなっているのに加えて、昨年9月には豪華客船「飛鳥U」が初寄港するなど、「若いながら活気のある港」(国土交通省関東地方整備局鹿島港湾・空港整備事務所の西谷和人副所長)として重要性が増しています。現在、廃棄物埋立護岸のほかに、国際海上コンテナターミナルや国際物流ターミナルの整備も行われています。
 見学会を実施したのは、火力発電所から排出される石炭灰を受け入れる新たな管理型海面処分場を造る工事の現場です。現地では国交省と茨城県それぞれが発注した計六つの工事が行われており、見学会は五洋建設・みらい建設工業JVが担当する国交省発注の「茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区廃棄物埋立護岸築造工事」を中心に行われました。参加した学生は、茨城大・大学院16人、筑波大・大学院3人です。鹿島港湾・空港整備事務所の西谷副所長、同事務所茨城港出張所の高木義光補償調整官、丸岡亮補償調査官に出席していただき、当協会の河瀬伸幸企画広報委員会副委員長、町田周一関東支部長、広報部会のメンバーが同行しました。
 現場サイトの展望ハウスに学生を迎え、河瀬副委員長は、「近くで見る機会のない港湾工事を身近に感じていただこうと企画しました」と趣旨を説明しました。その上で「スケールの大きい港湾土木の現場を見てください。携わった構造物が後世まで残る働きがいのある仕事であって、完成した時の満足感、充実感は言葉にできません。海外のプロジェクトも多く、フロンティア精神を持って大海原に出てみたい方はわれわれ全員が歓迎します」と力強く呼び掛けました。
 続いて西谷副所長が茨城港や常陸那珂港区の役割を説明し、「港湾が重要な社会インフラであることを理解してもらえると思います。港湾や海上土木に興味を持っていただければ幸いです」とあいさつしました。
 整備中の処分場は水深ー20m、全周は700m×800mの3,000mの規模となっています。護岸は、陸上で溶接・組み立てた円筒状の鋼板セルを海上に運搬して据え付け、中詰材を充填することで巨大な壁にする「鋼板セル工法」と、鋼材と鉄筋コンクリートの複合構造であるケーソンを運搬・据付、中詰材を充填する「ハイブリッドケーソン工法」によって築造します。
 学生達は施工ヤードを見渡せる展望ハウスで工事概要などの説明を聞いた後、鋼板セルの広大な製作エリアに移動し、詰所の屋上から巨大なセルを見学しました。鋼板の溶接や曲げ加工が行われている区画を歩き、組み立てが完了した巨大な鋼板セルの内部にも背をかがめながら入りました。鋼板セルは直径21m、高さは最大26m、重さは240t前後にもなります。見上げる高さの構造物と、それを吊り上げる大型起重機船を間近に目にして、学生達はそのスケールに圧倒された様子でした。女子学生も複数参加しており、JV職員の説明を熱心に聞いていました。高木補償調整官によると、学生が製作エリアに立ち入るのは初めてになるそうです。
 見学後は、展望ハウスで質疑応答の時間となりました。鋼板セルとケーソンを使い分けるのはなぜかといった質問に対し、西谷副所長が地盤や水深に応じた最適な構造を選択するとともに、経済性や施工性を考慮したことなどを説明しました。常陸那珂港特有の苦労を聞いた学生には、周期の長い波が入る港湾工事の難しさを紹介しました。
 閉会のあいさつを行った町田関東支部長は、「港湾土木は自然と一緒になって経験を積み上げる仕事です。生活の基盤であるインフラを整備するマリコンに力をお貸しいただきたい」と笑顔でメッセージを送り、見学会を締めくくりました。この見学会がきっかけとなって一人でも多くの学生が会員企業の門戸を叩いてくれることを期待したいと思います。
現場で工事関係者から説明を受ける学生
鋼板セルの組み立てと、JV 職員の説明を聞く学生
現場で製作しているハイブリッドケーソン 中央ふ頭地区に建設している次期処分場の位置図
(図中 部分が、五洋建設JVの施工現場)

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