日本埋立浚渫協会は、「第21回うみの現場見学会」を7月21日に新潟港の西港地区で進んでいる護岸築造工事の現場で開きました。新潟大学、長岡技術科学大学、長岡工業高等専門学校の学生42人と引率者を招待し、水上バスの船上からケーソン上部のコンクリート打設などを見学してもらいました。見学会は、港湾整備の重要性や港湾土木技術の成果を広く知ってもらうことを目的に行っています。参加した学生は「スケールの大きさをあらためて感じました」などと感想を述べ、今回も有意義な見学会となりました。
稲富路生企画広報委員長

風間悟副所長
 新潟港は、2年後に開港150周年を迎えます。同港でこの見学会を開くのは2回目となり、今回は本間組・不動テトラJVが新潟空港の沖合で行っている「新潟港(西港地区)航路泊地付帯施設護岸築造工事(その3)」(発注:国土交通省北陸地方整備局)が舞台となりました。浚渫土砂の処分場を整備する事業の一環で、当日の現場は据え付けが完了したケーソン(8.2m×25.0m×9.0m、1,397t)2函の上部コンクリートの打設や、次のケーソンの基礎となるマウンド(土台)の捨石を均す水中工事などを実施していました。
 見学会の冒頭、あいさつした稲富路生企画広報委員長は、「シビルエンジニアを目指している皆さんに、空気や水のように利用されている社会インフラの重要性や、建設会社がどういう仕事をしているか理解していただきたい。社会貢献度の高いダイナミックな海洋土木を身近に感じ、将来の礎にしてください」と述べました。
 稲富委員長に続いてあいさつした風間悟国土交通省北陸地方整備局新潟港湾・空港整備事務所副所長は「給与の改善や仕事と生活のバランスが図られるよう、土日や祝日を必ず休んでもらう工事にも取り組んでいます」と述べた上で、「働く環境の改善が進んでいる建設業に興味をもってもらい建設業界に入っていただけるとうれしいです」とアピールしました。
 学生には港の機能と、防波堤や浚渫作業の役割、護岸の構造形式が決定するまでのプロセスなどを学んでもらい、船内では本間組の藤田光典作業所長をはじめ現場関係者が工事の内容を分かりやすく紹介しました。女子学生の参加者もいて、藤田作業所長は「システム化、機械化された作業が多く、女性が活躍できる仕事が多いです」と説明しました。
 参加者は、朱鷺メッセで昼食を取った後、桟橋から信濃川ウォーターシャトルが運航する19t型軽合金製水上バスに乗船して現場に向かいました。乗船した水上バスは、出港して間もなく、新潟港湾・空港整備事務所の大型浚渫兼油回収船「白山」とすれ違いました。護岸の基礎となる捨石のガット船(石運船)からの水中投入、コンクリートミキサー船による上部工のコンクリート打設状況を見学しました。デッキに出て現場に視線を向けていた女子学生の一人は、「社会に貢献する構造物を造っているイメージを土木に持っています。今日は大型船からの作業だけでなく、水中の仕事も多いことが分かりました」と話していました。
 質疑応答では、豪雨に伴って河口などに堆積した土砂の処理方法などの質問があり、風間副所長から「場所によっては2日間で海底に1mほどの土砂がたまることがあり、その区域の海底土砂をグラブ浚渫船で緊急的に掘削したり、当事務所所属の『白山』により24時間対応で海底土砂を掘削したりしています」と伝えました。防波堤の整備による環境への影響に関する質問もあり、海岸の砂浜を回復する事業を行っていることを紹介しました。
 閉会のあいさつをした上杉春男埋浚協北陸支部長は、「AI(人工知能)やICT(情報通信技術)を積極的に導入し、国交省の生産性向上の取り組み『i-Construction』が進んでいます。人力をいかになくし、どう正確に安全に造るかが課題になっています。経験を積み、技術を学んだ人の考えで機械を使うことによって良いものが造れます」と現場の仕事のポイントを伝えました。その上で、「チャレンジしてみたいと思っていただけたなら、われわれマリコンの門戸を叩いてください。海の技術者になりましょう。どこかの港でお会いできるのを楽しみにしています」とメッセージを送り、見学会を締めくくりました。
ケーソン上部にコンクリートを打設する様子(コンクリートミキサー船)
工事の施工位置図   見学会には42人の学生に参加していただきました

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