海洋土木技術
③岸壁
岸壁は、水域に対して壁状の構造をなし、船舶が係留して人の昇降や貨物の積み降ろしを行う係船施設です。
構造形式は、ケーソンや方塊ブロックなどの重量により安定性を保つ重力式、鋼矢板を打設して背面のアンカーブロックなどとタイロッドにより連結する矢板式、タイロッドの代りに上部棚を設けてこれを杭で支える棚式、円筒型の鋼製セル内に中詰して一体化することで外力に抗するセル式の4形式に大別されます。
施工の流れ
大水深化や急速施工に適した「根入れ式鋼板セル岸壁」の鳥瞰図と施工の流れを以下に示します。
根入れ式鋼板セル岸壁
施工の流れ(根入れ式鋼板セル岸壁)
主な工種の紹介
以下に「根入れ式鋼板セル岸壁」の主な工種について紹介します。
・鋼板セル製作
鋼板セルは、製作ヤードや作業台船上にて組み立てられます。
製作方法には、セル殻を縦に数分割した円弧状の鋼殻ブロックを建て込んで円筒状のセルとするブロック建込方式と、セルを縦横多数に分割した鋼殻を下から順次積み重ねて円筒状のセルとする分割積重ね方式とがあります。
・鋼板セル運搬
セルの運搬方法には、台船による方法と起重機船による方法とがあります。いずれの場合も、セルはたわみ性に富むため吊上げ・移動に際しては十分な注意が必要です。
・鋼板セル打設 運搬された鋼板セルを、起重機船に吊られた複数のバイブロハンマを同期連動して海底地盤へ打設します。また、隣り合う鋼板セルの外側には円弧状の鋼板(アーク)を、鋼板セルと同様の方法で打設し、独立した鋼板セルを壁体化します。
鋼板セル打設
・中詰投入
セル構造の安定およびせん断抵抗確保のための中詰材には砂あるいは砕石を用います。中詰の投入は、リクレーマ船やガット船などにより行います。また、同様にしてアーク部内にも中詰材を投入します。
・上部コンクリート打設
鋼板セルおよびアーク上部に、コンクリートミキサー船にて上部コンクリートを打設します。