うみの現場見学会

 去る7月11日(金)、横浜港において当協会主催による現場見学会を開催いたしました。この見学会は一般市民のみなさんに、港湾整備の重要性、港湾土木技術の成果を、海の上から視察していただくことを目的として企画されたものです。当日は梅雨の中休みで朝から快晴に恵まれ、洋上から港を視察するには絶好の天候となりました。

 見学会のステージとして選ばれたのはわが国を代表する国際港湾都市「横浜港」。隣接するホテルを会場としたオープニングでは、当協会の渡辺正男会長より、プレゼンテーションが行われました。横浜港の歴史を振り返りながらスライドを活用して「東京湾の開発変遷」「港湾を取り巻く状況」などのデータをご紹介致しました。日本経済の発展を支え続けてきた港の歴史、また将来に向けた港湾整備がいかに重要であるかをご理解いただけたことと思います。

 その後、約250名を超える参加者全員で大型クルーザーに乗船。ー16m岸壁が供用されている南本牧ふ頭、再整備が進行中の本牧ふ頭、横浜ベイブリッジなどを周回しながら、普段目にすることの少ない「海から見た港の風景」を体感しました。海底面下30mという軟弱地盤を克服しながら護岸を築造し、埋立が進められようとしている南本牧埠頭周辺では、参加者のみなさんも特に興味深気な視線を向けられていました。大学院で地質工学を研究している院生のみなさんは「実際に施工現場や整備状況を目にする機会は初めてなので大変貴重な体験です」語ってくれました。

横浜ベイブリッジ

プレゼンテーションする渡辺正男会長

南本牧ふ頭

 下船後は、国土交通省関東地方整備局港湾空港部、横浜市港湾局のご協力をいただいて、見学者との意見交換会を実施しました。「今後の港湾整備の在り方について」また「港と内陸を結ぶ道路を始めとする交通インフラの整備」など活発な意見が展開され、港湾に対する理解が充分に促進されました。

 わが国の港湾は、シンガポールや韓国などの主要港と比較して、その取扱貨物量など物流競争において残念ながら遅れをとっている現状があります。実際にその格差をデータでご紹介すると「これほどまでに日本の港が水をあけられているとは思わなかった」という感想が聞かれました。また、こうした現場見学会をはじめとする港湾の広報活動について、さらに積極的な展開を求める声もあがりました。

 四方を海に囲まれ、重要な経済資源や生活物資を海外からの輸入に依存するわが国において、港湾は豊かな国民生活を実現するためのライフラインといえます。その港湾に視線を向け、五感を通して港を感じていただく機会として、当協会では今後ともこの現場見学会を継続的に開催していく予定です。

本牧ふ頭

大型クルーザー「マリーンシャトル」

意見交換会

海上から港を視察