注目プロジェクト
神戸港ポートアイランド(第2期)地区国際海上コンテナターミナル(PC-15〜17)整備事業
コンテナ貨物量の増加に伴って激しくなる交通渋滞の解消を目的に計画された臨港道路「霞4号幹線」。リーマン・ショック直後の2009(平成21)年を除いて、ほぼ一貫して過去最高記録を塗り替えるコンテナ取扱量の増加が、四日市港と国道23号をつなぐ「霞大橋」の大渋滞を引き起こすとともに、国道23号の環境が改善できない要因になっているという。
四日市港の霞ケ浦埠頭地区と背後地を結ぶ道路は、この「霞大橋」だけのため、物流のボトルネックとなっている。
そこで国道23号とほぼ並行して計画されたのが霞4号幹線。霞ケ浦埠頭地区と、伊勢湾岸道路みえ川越ICにつながる延長4.1Kmの高架道路で、周辺環境への影響を最小限にするために、海岸線に沿うような曲線の多いルートが特長。2004(平成16)年の事業着手以来、将来計画は4車線だが、暫定2車線として、建設事業が急ピッチで進む。
事業を指揮する国土交通省中部地方整備局四日市港湾事務所の長瀬和則所長は、「災害時のリダンダンシーにも効果を発揮する」と事業の必要性を強調する。霞ケ浦埠頭に整備されている耐震強化岸壁が、緊急時の輸送拠点となるからだ。
東日本大震災で甚大な被害をもたらした津波も、霞4号幹線の重要性を後押しする。伊勢湾に面した三重県周辺では1959(昭和34)年の伊勢湾台風直後に整備された防潮堤が老朽化。海抜ゼロメートル地帯である川越町などでは、津波による越流を危惧し、古い防潮堤は地震時の液状化によって変形・崩壊する恐れもある。
霞4号幹線の整備では、こうした地元の不安を解消する目的から、海岸管理者である三重県と連携して海岸堤防の強化も合わせて実施。一体的に事業を進めることで早期の事業効果の発現を狙う。東日本大震災前に比べて「事業に対する地元の理解も、より深まった」と長瀬所長。
さらに、高台のない海岸沿いということもあって、緊急時には避難できる高架道路として利用してもらうことも検討中。今後、地域住民との協議を重ね、避難スペースを付帯的に設置するとともに、階段の形状などを決め、設計に反映させる考えだ。
災害時の事業継続計画(BCP)の見直しが各地で進む中、四日市港では港湾全体の関係者が一体となったBCPのあり方を模索中。ハードで守れる部分は国、港湾管理者、海岸管理者が連携して行うとともに、民間への支援も積極的に関与する。港湾労働者の避難などのソフト面は民間の協力も得て、官民が一体になって取り組むこととしている。
四日市港周辺の地盤条件は、基盤となる伊勢神戸層(砂・礫質土)がー30〜50mの深さにあり、その上部に粘土層と砂・砂質土が堆積している。このため、橋梁の基礎工はこの基盤層のー30〜50mまで、深く支持杭を打設し、地震に耐える構造としているのが特長だ。 事業完成予定は平成20年代後半。現在は橋脚の施工が順調に進んでおり、事業進捗率は約3割となっている。
事業位置図
霞4号幹線の橋脚の施工進む