注目プロジェクト
細島港白浜地区国際物流ターミナル整備事業
海上交通の要衝として、古くから栄えてきた宮崎県の細島港。九州の主要都市である福岡や鹿児島、熊本などをすべて150
km圏内におさめ、ちょうど「九州の扇の要」に位置する。2010(平成22)年には重点港湾に選定され、港湾機能のさらなる強化が進められている。港内の静穏度を高めるため、2000(平成12)年から進めている沖防波堤の整備に加え、2011(平成23)年には白浜地区国際物流ターミナル整備事業もスタートした。
細島港は、漁船などが停泊する商業港地区、フェリーやRORO船などが就航する工業港地区、コンテナやバルクなどを取り扱う白浜地区で構成される。全地区合わせたコンテナ貨物量は2010(平成22)年に2 万8,867TEUと過去最高を記録。2011(平成23)年もほぼ横ばいの数値を確保し、堅調に推移しており取扱貨物量はここ数年は400万トン台を確保している。この貨物量の6 割以上を白浜地区で取り扱っている。
白浜地区はこれまで、主として14号岸壁(−13m)と10号岸壁(−10m)を利用し、コンテナ貨物や石炭、原塩などのバルク貨物を取り扱ってきた。ただ、両貨物が混在しているため、大型船が利用日を変更したり、他施設へのシフトを強いられたりし、港湾利用に支障が生じていた。
「国際物流ターミナル整備事業は、水深13mの新岸壁(17号岸壁)を整備し、バルク貨物を新設岸壁にシフトさせることにより、荷役効率の改善や低コストによる貨物輸送などを可能にします」(宮崎港湾・空港整備事務所の三島理所長)。
整備計画によると、既設護岸から50mほど前出しし、水深13m、延長260mの新岸壁を整備する。泊地は1.6ha(−13m)、臨港道路は0.7ha、ふ頭用地は5.7haをそれぞれ整備する。総事業費は44 億円。岸壁となるケーソンは本体部が13函、取り付け部が2函の計15函。本体ケーソンは長さ20m、幅9.9m、高さ15m、重量1,576トンの重力式。すでにケーソンの製作工事4件を発注済み(7月1日時点)で、岸壁背後地でケーソンの製作工事が進められている。本年度中にケーソンの製作、据付までを完了する予定だ。
三島所長は「調査、設計、施工までの期間が4カ年と短いため、工程管理と安全管理には細心の注意を払っています。2013(平成25)年度には東九州自動車道日向〜高鍋間が開通し、宮崎市内と細島港が高速道路で繋がります。細島港の港湾機能の強化は、地元からも強い要請があり、目標である2014(平成26)年度中に、1日でも早く供用にこぎ着けたい」という。
宮崎県内で生産された工業品や農産物などはこれまで、他県の港から出されるケースもあった。細島港の機能強化と高速道路の開通により、地元産品は地元の港から出す「荷物の地産地消」を目指す方針だ。
細島港。白浜地区に国際物流ターミナルとして−13m岸壁が整備される。
3月4日に現地(細島港)で行われた着工式の様子。港湾機能の強化は地元も強い期待を寄せている。