『海紀行』人とまちを支える港を訪ねて

『海紀行』人とまちを支える港を訪ねて

伊達政宗が青葉山に城を築いて以来約400年、「杜の都」として発展した仙台。歴史と文化が色濃く薫る東北地方最大の都市である。仙台塩釜港はその市街地から約10kmに位置する東北の海の玄関だ。国際物流港として躍進を続ける仙台港と、鹽竈神社の門前町であり水産業の拠点としての歴史をもつ塩釜港。平成13年4月、この二つの港が「仙台塩釜港」として特定重要港湾の指定を受け、新たな未来図を描き始めた。

仙台港区全景(写真:宮城県土木部港湾課)

仙台塩釜港

二つの異なる顔をもつ東北の拠点港

 ケヤキ並木がビルの谷間を彩り、広瀬川が街中を縫うように流れる仙台。政令指定都市として東北地方の経済、文化を担う美しい街だ。その市街地から車で30分程東へ走ると仙台塩釜港の仙台港区に出る。仙台塩釜港は仙台市、多賀城市、七ヶ浜町、塩竈市など複数の市町にまたがる大きな港だ。

 仙台塩釜港は大きく二つの地区に分けられる。松島湾の南端を占める塩釜港区(塩釜港)と、さらに10km程南に位置する仙台港区(仙台港)だ。古くから開かれていたのは塩釜港で、その歴史は奈良時代にまで溯るという。昭和39年に港湾計画の改定がなされ、仙台港区の整備が始められると両港区をもって塩釜港となり、昨年、東北地方初の特定重要港湾に昇格したのを機に港名を仙台塩釜港に変更した。

 車でも15分程しか離れていない二つの港だが、町の佇まいや港の機能にはそれぞれの港区に独特の個性が感じられる。宮城県土木部港湾課の松澤茂班長にお話しを伺った。「一言で言えば仙台港は国内航路、海外航路ともに充実した国際的な物流港として東北全体の経済、産業を担っていると言えます。一方、塩釜港は宮城県南部の物流を支える拠点として重要な役割を果たしています。古くから栄えた市街地も仙台を初めとする大都市のベッドタウンとして安定しています」。 

 もともと宮城県はリアス式海岸と多くの河川に恵まれ、古来から築港、水運が盛んに展開されてきた。その中でも異なる歴史を歩んできた二つの港が、それぞれの個性を発揮しながら、東北を代表するひとつの特定重要港湾「仙台塩釜港」として新しい歴史の幕を開けようとしている。

塩釜港区全景(写真:宮城県土木部港湾課)

着工当時の仙台港区(写真:宮城県土木部港湾課)

塩釜漁港

高砂コンテナターミナル