『海紀行』人とまちを支える港を訪ねて
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世界に開かれた北東北の玄関八戸港多目的国際物流ターミナル
昭和24年、馬淵川の切り替えにより旧河川を工業港として活用することになった。旧河川の川底が浚渫され内港航路として整備される。現在、河原木地区の第一工業港と呼ばれるこの一帯には火力発電所、製鉄などの企業が次々と進出した。昭和39年からは八太郎地区の第二工業港の基盤整備が開始され、現在まで港湾開発の舞台は南側から北側に向け拡大している。
その八太郎地区の2号ふ頭に昨年4月、待望の「多目的国際物流ターミナル」が竣工した。新しいターミナルは約5万8千㎡の面積を持ち、東北では2番目の規模を誇る4万t級のコンテナ船が接岸できる水深−13mの、多目的岸壁をはじめ、新コンテナヤード、八戸港2基目のガントリークレーンが稼働を始めている。荷役作業が迅速になり、4万t級のコンテナ船で1〜2時間短縮できるようになった。八太郎1号ふ頭のクレーンも移設され2基体制となり、さらなる荷役機能の強化が期待されている。
首都圏までの陸送費をカットし、輸送コストを削減できる八戸港の海外航路は大きなセールスポイントだ。ステンレスの原料となるフェロニッケルや製紙などが八戸港の主要貨物だが、港湾整備が進むなか、八戸では新しいビジネスも芽生え始めている。
リーファー(冷凍冷蔵)施設が増強され、本格的に稼働を始めたため、海産物の輸出が伸びている。このターミナルから、コンテナ10本分もの大量のイカが一度に輸出されたこともあった。昨年4月の供用開始以来8月までのリーファーコンテナ取扱数は輸入が前年同期に比べて約3割減ったものの、輸出が約8倍と激増した。青果物の動きも例外ではない。青森産の野菜も地元青果会社によって東南アジアに輸出されている。日本の海産物、農産物が八戸港から世界のマーケットに運ばれていく。
輸入については加工工場などの海外移転に伴い減少傾向にあるが、オーストラリア産ニンジンの輸入など新しい分野の開拓も試みられている。その他の物資についても、北欧、アメリカからの原木や、最近人気を集めているミャンマー産の生活雑貨の輸入などが増加している。
いずれもこの新ターミナルの機能強化が背景にある。しかし八戸港に直接荷揚げするための便数増強など、課題も残されている。八戸港は内外航路合わせて4航路という豊富な選択肢を最大限に生かした新たな物流機能の強化を目指している。
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現在の八戸港区南端に位置する鮫漁港は八戸港発祥の地ともいえる漁港
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第一工業港付近には修船場も目立つ
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コンビナートや発電所が集中する河原木地区は昭和10年代から臨海工業地帯が形成されはじめた
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第一工業港のフローティングドック。防波堤の整備工事も着々と進行している
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八太郎3号ふ頭の飼料積み出し施設。八戸港の貨物は工業品ばかりではない
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八太郎2号ふ頭に整備された多目的国際物流ターミナル。八戸港の新しい海の玄関口だ
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八太郎3号ふ頭のフェリー発着場
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ガントリークレーン2基体制で八戸港の物流の要となる八太郎第2ふ頭